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童謡のアレンジと新作の初演

新年を待ち侘びたカルミナによるYouTube配信ライブ

12月、クリスマスと新年の音楽を聴きたい、歌いたいという気風が高まります。1年が過ぎ行き再度新たな年が訪れるダイナミズムに、あるいは力の到底及ばない理不尽な摂理の力に、本能的に畏れ、言葉にできない心の叫びを歌に乗せようとするためかも知れません(笑)

金子みすゞ「女の子」、童謡「雪」再演、「一月一日」初演

マザーグースの「What the little boy made of ?」と金子みすゞの「女の子」に、共通のユニークさと諧謔性を見つけ、「女の子」という歌曲を作りました。

「What the little boy made of ?」
男の子って何で出来ているの?
男の子って何で出来ているの?
カエル、カタツムリ、子犬の尻尾、
そんなもので出来ているの。

女の子って何で出来ているの?
女の子って何で出来ているの?
砂糖と香料と全ての良いもの、
そんなもので出来ているの。

(若い男の人って何で出来ているの?
若い男の人って何で出来ているの?
ため息と涙、そしてワニの涙、
そんなもので出来ているの。

若い女の人って何で出来ているの?
若い女の人って何で出来ているの?
リボンとレース、そして甘くて可愛い顔、
そんなもので出来ているの。)
(詩:マザーグース)

「女の子」
おんなのこってものは 
きのぼりしない ものなのよ
たけうまのったら おてんばで
ぶちごまするのは おばかなの
わたしはこいだけ しっているの
だって
いっぺんずつ しかられたから
(詩:金子みすゞ)

童謡「雪」と「一月一日」は、原曲にない3番の歌詞を新たに創作しました。

「雪」では日本語の方言のバラエティの豊富さに注目し、新潟地方の方言で発音した「雪(Yoki)」というユニークな音を採用しました。

「雪」

間奏
Yoki Yoki Yoki Yoki
Yoki 降る降る
降る降る あなたと私連れ出し

3番
雪の冷たさ 霰は弾む
降れ降れ 降れ降れ
真白に染まれ
歩み運べ 一足毎に
春が開くと 鳥が啼く
(詩:加藤希)





「一月一日」の編曲時に、能登半島地震(2024)が起こりました。音楽の使命は人を精神的に励まし生きる支えとなるべきものだと考えて、現場の人一人一人が逆境にめげず命を燃やし、モリモリと力強く復興して行くようなイメージから、作詞しました。

「一月一日」
3番
巡る季節を 繋ぎゆく
大地の息吹 包まれて
花咲く春の 訪れに
あなたの命 輝いて
(詩:加藤希)

抱負

メロディと歌詞が確保された時点で楽曲の創作は完成していますから、アレンジは二次創作となります。しかしそこに個性が現れます。

では原曲の二次的な創作の許容範囲はいかほどでしょう?

音楽は演奏されないと意味がありません。そこには原曲をそのまま歌いたいという欲求が内包されています。
いろいろな人によって解釈も感想も異なるため、表現者としてのアートの追求と、作品の再現でアートをどれだけ共有したいか?どれだけ人に伝えたいか?という観点をもって捜索する必要性が現れてきました。これからの課題です。

チェロとピアノの演奏

クリスマス演奏会

福祉施設での仕事納めで、クリスマス演奏会を行いました。

チェロとピアノによるプログラム

1.バッハ・グノー「アヴェマリア」
2.サンサーンス「白鳥」
3.モリコーネ「ニューシネマパラダイス」
4.マークス「赤鼻のトナカイ」
5.ピアソラ「オブリビオン」
6.ラヴランド「ユー・レイズ・ミー・アップ」
7.久石譲「さんぽ」
8.アンコール「きよしこのよる」

全員で合唱

私のいつもと違った側面を見たり、初めて出会うゲストのチェロ奏者の登場で、会場には集中が高まった雰囲気でした。

が、「さんぽ」が始まるとなんと会場から手拍子が〜!笑い声に包まれました。

最後はしっとりと斉唱で「きよしこのよる」を歌いました。温かいクリスマスとなりました。

モダンバレエで野外演奏

地域と芸術

公園のアートイベント

芸術の秋です。野外でのアートイベントが都内で開催され、モダンバレエのパフォーマンスにおけるBGM音楽の生演奏をしました。

田中さんとは10年来コンテンポラリーバレエを通じて、表現芸術の探究をしてきました。越後ビエンナーレの鑑賞や舞踊劇「ハリーポッター」での共演を経て、今回コラボレーションに至りました。

学校・公園・地域とアート

ピアニカと、客席と舞台に設置した2台のスピーカーからが音源が再生できる仕掛けを準備しました。打楽器のユニークな音色と深いリバーブを、空間演出に利用します。

黄色い風船が舞台装置として設置されました。ピアニカのソロの演奏からパフォーマンスが始まりました。公園は、散歩する地域の人たちや近所の子どもたちで賑わっており、パフォーマンスが始まると、寒風の吹く中、客席にも立ち見客も来てくれました。客席の鑑賞者にも風船を手渡し、アートを共有します。

着眼点

企画の制作で、相手と一緒にパフォーマンスを構成していきます。兼ねてから田中さんの作品の鑑賞していて感じる印象や、満足な結果を得るには、

自分の好きな音楽のイメージや、演奏する楽しさやワクワクするイメージに立脚して、音楽を構築することができました。

機材のケーブルが外れて音が途切れるハプニングもありましたが、無事に乗り切りました。

このアートイベントは町内の小学校も会場となっていました。そこで出会った企画出展者のダンサーさんは、小学生の時に当アートイベントを鑑賞したことでアートに目覚め、その後大学で身体表現を学び、今度は母校の小学校で当アートイベントを出展する側に周ったとのことでした。まっすぐなモチベーション、素晴らしいと思いました。

カルミナライブ in 地域の芸術祭

地域の芸術祭

芸術の秋、11月を迎えました。カルミナはこの企画で「カルミナと世界の童謡コンサート」と題した演奏会を開催致しました。

世界の童謡

これまで日本国内の童謡のアレンジを行って来たことを受けて、世界の童謡の編曲と演奏に挑戦しました。

集めた童謡は、いくつかの単純なリズムのパターンに分類した後、歌詞の内容や曲の調子という観点から分類し、カルミナ・オリジナルソングと織り交ぜてプログラムを組んでいきました。

そして日本での歌曲作りの歴史を汲んで、日本語の響きを大切に作ったオリジナルソング「月光微韻」を再演、また町田にある子どものための遊び場の紹介動画のBGMに採用していただいたオリジナルソング「空を飛ぶ夢」を、紹介動画と共に演奏致しました。

遊び心

世界の童謡を集めるうちに、童謡に纏わる遊び心に触れました。またマザーグースは児童文学とも関係深く、例えばアガサ・クリスティの推理小説など近代文学作品に引用されたり、ルイス・キャロルが童謡を作詞していたりと、欧米の精神文化での支持層の幅が厚いことに気づきました。

諧謔性を楽しみ、また想像力を自由に膨らませたり思索を投げかけるような解のない問いかけをするようなことを、遊びとして享受することが風習になって生活の中にあるようです。欧米社会での芸術や活動の層が厚いことにも通じるのかも知れないと考えました。

出会い

たまたま芸術祭のチラシを見たお客様が、鑑賞してくださいました。きっかけはチラシにあった「童謡」というキーワードに興味が湧き、演奏を聴いてみたいと思ったとのことでした。街全体が芸術祭を開催していている熱気にもとても感心されていました。

ご来場いただいた皆様、この場を借りて深く御礼申し上げます。

モダンバレエでの楽曲発表

モダンバレエの舞台で、作品発表の場をいただきました。

コンテンポラリー精神

エレガントな美しさと難解さ、驚くほどの身体能力の高さ、ダンサーの全身に漲る緊張感に独特の魅力があるモダンバレエですが、その魅力的な舞台で作品発表をさせていただける運びとなりました。

コンテンポラリーな精神の自由を体と音楽でどのように表現するか話し合い、体を動かしたり音を出しながらコンセプトを発想し、作品を具体化していきました。

先生の、先先代の師である檜健次氏から受け継いで来られた芸術精神や、キャリアに裏打ちされた先生の気構えの確かさを感じながら、とても心地よい充実した創作が出来ました。また先生は同時並行的に、バレエ劇「アナ雪」や、生徒一人一人の作品の指導をしながら制作されており、そのバイタリティに圧倒されました。

アナログ楽器と電子楽器

コンテンポラリーの音楽は、西洋音楽の歴史が生み出した音楽の魅力的な音楽を素材としながら、なおかつ伝統や因習から離れた新しい自由な精神を切り口として、再構築して演奏できることが魅力です。

今回のようなコラボレーションでは、目標としてはダンスと音楽がコラボレートすることを目指すのですが、舞台上にて音楽がダンスの伴奏に留まるのではなく、音楽は音楽で独自に自律的で自由な精神活動を持ち、独自に音楽を展開しようとしている方が、結果的には良いコラボレーションとなります。

そこで、私は空間演出にとても適したユニークな音色と長い残響を持つ金属打楽器「シデロイロス」と、音の波形の変調をつまみ一つで簡単に行え、変化に富んだ音響を簡単に得られるモジュラーシンセ「Volca Moduler」を生で演奏することを考えました。このシンセは、音色の変調によっては騒音を出す打楽器のような音も生成できるので、その共存と合奏の可能性を追求しました。

意外な出会い

楽屋で、生徒のうちの1人の父親が楽譜を読譜していました。話を伺うと、なんとかつて拙作を演奏していただいた演奏家の方が所属する交響楽団の団員でおられるとのことでした。

とても感慨深いコラボレーションとなりました。

ヴォーカリーズの魅力

1.声楽の創作
2.Hand to Hand
3.和声学の魅力


1.声楽
声楽の魅力をオリジナル作品にも活かしました。新しい挑戦です!

2.Hand to Hand
原曲は2023年に制作しました。冒頭のハーモニーに魅力を感じています。他にも新しい作品への展開ができそうな良い素材です。

3.和声学の実践の魅力
和声学を実際の男女の声で和弦するととても魅力的です。シンプルな4声体から音楽的にとても豊かなハーモニーが産まれます。

「Hand to Hand」Choir version,2024

〜緒方悠詠さんソロ「私へのラブソング」合唱カヴァー版を制作

ゴスペル風アレンジを制作し、作品は1200人の聴衆の前で初演されました。

1.ソロの歌を合唱へ編曲

2.ゴスペル風アレンジ


1.ソロの歌を合唱へ編曲

シンガーソングライター緒方悠詠さんのオリジナル・ソロの歌を、女性三部合唱(ソプラノとメゾソプラノとアルト)へ編曲しました。

日常の素朴な感動を語るように歌い、サビでは「私」に向かってポジティブに「ありがとう」と繰り返します。

歌うのは今年結成された合唱団の「和光響」。若々しさに溢れています。合唱は、SNSの流行による仮想の音楽が流行する中で興味深いです。

2.ゴスペル風アレンジ

リクエストは、ゴスペル風アレンジでした。力強い歌詞とテーマを、合唱団にカルミナの加藤希さんが参加して歌うことになりました。ソロではなく和音となった歌声の恩恵を隅々まで充たすように書法を凝らします。

・合唱全体の響きを厚くするため、メロディに3度下、6度上、にハモリのメロディを設けてあります。

・多人数での合唱や合奏における数理的な技巧の興を味わうため、カノンを設けてあります。

・低音を支える役目の多いパートに、主旋律を歌う場面を設けてあります。

音楽の楽しみをより深められるよう期待しています。

野外ステージでライブ演奏(Defiさんと対バンド)

1.野外ライブ演奏
2.演奏曲
3.ステージの様子


1.野外ライブ演奏

7月21日(日)に府中公園の野外ステージでライブ演奏しました。今回はDefiさんと同じ日時と場所での演奏となりました。

2.演奏曲

・「Viva la festa」
・編曲:童謡「砂山」
・「タガメの歌」 
・編曲:童謡「たこのうた」
・編曲:童謡「ちょうちょう」

・坂本九「上を向いて歩こう」(Defiさんと一緒の演奏)

3.ステージの様子

たまにカラッとした風が通り抜け、夏らしく気持ちの良い一日でした。

2バンドの歌声が公園に響きます。声に引かれて聴衆が集まって歌に聴き入っていました。

Defiさんは、ディズニー映画の歌やオリジナル曲を、音楽家・石川泰さんの伴奏で歌いました。ヴォーカルには深いリバーヴがかかっていて、神秘的でした。

木下牧子作曲・まどみちお詩「おんがく」を編曲しました

11月に予定の演奏会に向けた編曲をしました。

1.木下牧子「おんがく」を編曲
2.まど・みちおによる詩


1.木下牧子「おんがく」を編曲

・原曲は女性とピアノ版と合唱版があります。今回はソプラノとバリトンとピアノ伴奏への編曲をしました。堅実な書法で、歌い易い滑らかな音程の進行とフレーズ、優しい旋法的な転調、弱起を効果的に使ったシラブルの配置が特長の、秀れた作品です。

2.まど・みちおによる詩

・まど・みちおは、「ぞうさん」や、「やぎさんゆうびん」が有名です。
短い言葉で対象を鋭く切り取ります。その切り口はドキッとするほど瑞々しく、大宇宙の中でたった一つの奇跡に直面している事実を直感させられるかのようです。

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おんがく

       まど・みちお 詩

かみさまだったら

みえるのかしら

みみを ふさいで

おんがくを ながめていたい

目もつぶって 花のかおりへのように

おんがくに かお よせていたい

口にふくんで まっていたい

シャーベットのように広がってくるのを

そして ほほずりしていたい

そのむねに だかれて

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演奏会が楽しみです!

武満徹「小さな空」編曲を初演

友人の素敵な演奏に感激!武満徹の作品の味わいに感心!


私が編曲した歌曲、武満徹「小さな空」が、10月に関西でソプラノとバリトンの新見聡氏、ピアノ塩飽喜子さんによって初演され、11月4日(土)東京の門前仲町にあるシンフォニーサロンという音楽サロンで再演されました。

シンフォニア・サロン

プログラムにはバッハ、ヘンデル、ベッリーニ、そして木下牧子さんの朗らかな歌曲が並び、「小さな空」は最終曲に組み込まれました。演奏会が終わる寂しさに、少ししんみりとしつつも明るいワルツが印象的でした。

演奏では、私が細かく書き込んだ和音のニュアンスをしっかり表現していただきました。私が楽譜に書き込み切れなかったフレーズの段落の絶妙な間までもきめ細かく表現していただきました。再演だけにとてもゆとりのある落ち着いた充実した演奏で、会場には幸せな雰囲気が満ち溢れました。

武満徹さんの音楽は、演奏するのが楽しいと言う演奏家のファンが多いと聞きます。確かに、武満徹は国内外の演奏家と親交を持ち、作曲者と演奏者とがお互いにアイディアを出し合いながら新しい音楽を模索し初演していきました。その結果生まれる作品は、思わず意欲的に演奏したくなるような(歌いたくなるような)魅力が多分に含まれるでしょう。時には、演奏に挑戦しがいのある難易度の高い難しい曲も生まれるかも知れません。いずれにしても晴れてその曲が演奏された際は、作曲者と演奏者が双方が幸せな気持ちになり、それに立ち会う聴き手も充実した気持ちを感じ取れることでしょう。とても尊いことだなぁとしみじみ感心しました。

現代音楽を学び、音楽を作る意味・音楽を演奏する意味を模索して来ましたが、その解答の一つが正にこの充足感ではないでしょうか。今回の「小さな空」の編曲とその初演は、私にとって非常に感慨深い体験となりました。

武満徹「小さな空」/ 編曲:栗林琢也