オリジナル作曲あそび

誰でも出来るオリジナル作曲あそびのご紹介。

音楽を「作る」

音楽を勉強してみたい。でもピアノの単調な練習、たくさん覚えなければいけない約束、ちょっと退屈に思うかも知れません。

そんな時、「作る」という視点から音楽を眺めてみてはいかがでしょうか?みなさんがピアノで練習している曲も、誰かが「作った」ものです。自分のアイディアや気持ち次第で、思い付いた音を考えて聴きたいように自由に並べて「作った」のです。

皆さんも、聴きたいと思う音を好きなアイディアや気持ちに沿って自由に並べて、曲を作ることが出来ます。
それを弾いたり歌ったりして、その音からアイディアや気持ちを感じるのです。そう考えるとワクワクしませんか?

作って遊ぶ…1.「在る(ある)」

簡単な音楽を作ってみましょう。

・音楽を作るために、まずは音楽がそこに「在る」ことを考えてみましょう。

出発点
・素材は何でも良いのですが、例えばオレンジ色の色紙を用意します。これが「在る」ことを表す目印とします。


・音楽は音から成り立つので、まず何か音を出しましょう。
机の上の「好きなところ」を、「手」で「1回」だけ「普通の強さ」で叩いて、ポン!と音を出してみましょう。

統合
・用意した色紙の丸と、ポン!と出した音を、互いに統合します。実存の色紙の丸が音として鳴り響き、実存として鳴り響いた音が色紙の丸だと意味づけます。

差異
・大きなオレンジの丸に対して、小さなオレンジの丸を用意します。「小さい」という違いを、音で表せるでしょうか?

何が聴こえるでしょうか?

作って遊ぶ…2.楽譜

音符と親しむ
・たくさんの色紙の丸を用意します。一枚ずつ触って感触の差異を感じとります。

楽譜と記譜
・白いコピー用紙を用意し、上下の両辺に大⇅小、強⇅弱、過⇅少などの概念を、そして左右の両辺に時間軸の前⇄後、(先⇄後)という概念を意味づけます。

・用紙の上に色紙の丸を二つ以上置いてみましょう。

深める
・「木琴」「太鼓」の音は、手で机を叩く音よりも、音の高さや音色の特徴が純粋で明確です。
そして用紙上の二つの丸の位置関係によく注目しましょう。色の丸の形や模様の違いに加えて、高い⇅低い、前⇄後の関係性は、これらの打楽器で表せるでしょうか?

作って遊ぶ…3.味わう(鑑賞)

何が聴こえるでしょうか?

ポコンポコン、ポンポン、ドンドン、ペチペチ、カチャカチャ、いろいろな音が鳴ります。
はてな?何これ?という気分になったのではないでしょうか?

では「はてな?」という気持ちは、どうしたら「わかった!」と納得した気分になるでしょうか?

・打楽器の他に、「高い音」と「低い音」は他にも在るでしょうか?好きな音を探してみましょう。椅子?机?お茶碗?声で歌う?

・新しく好きな「音」が見つかったら、その音で、もう一度さっきの色紙の丸を演奏したらどうなるでしょうか? 


言葉で音楽を作る…1

言葉
・打楽器に音の高さと音色の違いがありましたが、私たちの話している言葉にも、「高い音」と「低い音」の違い、音色の違いがあります。

言葉で音楽を作る…2

音符と言葉の統合
・色紙の丸を、言葉の一文字一文字に置き換えてみましょう。

・丸の大きさと模様の違い、そして高⇅低の違いを、言葉で表せるでしょうか?

何が聴こえるでしょうか?

歌?それとも…?まだ歌とも何とも似つかない何か?

創造する

作曲遊びは創造です。これは目に見えないイメージに対して音という形を与えて考え感じ取ろうというする模索です。現実には「無い」想像の世界とそこに「ある」音の響きを楽譜を通じて行き来しながら、そこに激っているモノをいかに音楽にするかを模索します。逆に音を先行して聞いたら目に見えないイメージが浮かぶこともありますし、音を楽譜上で発展させることでイメージの世界を大きく発展させることも出来ます。

音楽の発展の歴史は、私たちが想像の世界を共に分かち合おうと意欲し続けた結果でもあります。

※この曲はレッスン当時4歳だったRくんの力作です。撥音「っ」の音程付けが難しかったですが、ちょうど色々な身近なものの名前を覚え出す年頃だったので、並んだ言葉には、とても瑞々しくて柔軟な勢いがあります。

小学生の皆さんの場合は、小学校の基礎的な教科の学習と併せて音楽を学んで、かつ曲を作って想像力を涵養し、豊かな感性を身に付けてもらえれたら良いなと思っています。そして将来、その想像力がみなさんの未来を豊かにしていくことを願っています。

参考

谷川俊太郎「ことばあそびうた」福音館書店,1973

元永定正「がちゃ がちゃ どんどん」福音館書店,1986

山下洋輔・文/元永定正・絵 中辻悦子・構成「もけら もけら」福音館書店,1990

谷悦子「まどみちお−詩と童謡」創元社,1988

「まどみちお詩の本 まどさん100歳100詩集」理論社,2010

萩原昌好「日本語を味わう名詩入門7北原白秋」あすなろ書房,2011

伊藤玲子(編)「日本歌曲選集」ドレミ楽譜出版社,1984

石丸由理(編)(著)リトミック・ソルフェージュ「ともだちのーと2」ドレミ楽譜出版社,2002 P.15 ことばのリズム